西伊豆田子で100年余のかつお節製造の歴史を誇る、有限会社カネサ四代目、芹沢里喜夫氏が昔ながらの製法で薪を使って燻乾し、一本ずつ天日干しとかび付けを各6回繰り返して製造した香りの良さが特徴の逸品。
かつお節は良質のタンパク質のかたまりです。100グラム中のタンパク質は約77グラム、エネルギーは356キロカロリーと魚製品の中でも最高です。骨や歯に良いリンや、心臓・筋肉機能を調整するカリウム、さらにビタミンB1・B2も豊富です。かつお節は元気に生きていくための必須栄養素のかたまりと言えます。
原魚のカツオ
カツオの漁場並びに魚質を厳選し鰹節作りに適した鰹を原料としています。
鰹節に使われるカツオは、脂分の少ないカツオが適しています。
包丁の種類
右から頭切り包丁・腹部切包丁・身おろし包丁・背びれ取り包丁・合い断ち包丁(四つ切包丁)です。
身おろし
三枚に切り分ける。
【亀節】鰹一尾で2枚の亀節が作られます。
形は、三枚おろしの半身を使います。2kg〜3kgの小さいカツオが亀節に仕上げられます。
合い断ち(身割り)
本節を作るには、合い断ち(身割り)を行います。
【本節】鰹一尾で4本の身に切り分けます。
この工程で、背節・腹節に切られます。5kg〜7kgの大きなカツオが本節に仕上げられます。
煮篭組み込み
身割りの鰹を篭に入れます。
この時の組み方により鰹節の形が決まります。組み方が悪いと曲がった鰹節になってしまいます。
煮熟(しゃじゅく)
釜に入れ沸騰しない様に2時間ほどカツオを煮込みます。
常温冷却
煮上がった後、カツオが冷めるまで放置します。徐々にカツオが堅くなっていきます。
骨抜き(カゴ離れ)
煮熟されたカツオを常温冷却した後、カツオの鱗・大骨を抜き取り水洗いします。この時に、頭と尾が分かるように雄節・腹節共に皮を残します。
水切り
セイロ(乾燥用容器)に骨抜きされたカツオを1本ずつ並べ表面についた水を取ります。
水切り焙乾
セイロに並べた製品を1時間程度、軽くいぶし乾かします。
余分な水分の除去とカツオの煮肉の腐敗を防ぎます。伊豆田子節の伝統製法の手火山式焙乾法を使います。
骨抜きとモミ(修繕作業)
カゴ離れの時に抜ききれなかった小さな骨を抜いていきます。モミ(修繕作業)と同時作業で行います。
手火山式焙乾
マキ(くぬぎ・楢・桜・地元の原木)を使い、伊豆田子節の伝統製法の“手火山式燻乾法”で燻し乾かします。激しい強火から、弱火へと火力を変化させながら燻し乾かします。
※焙乾 → 冷却 → 焙乾(約10回行なう)作業日数は1ヶ月を要し、最も重要な味を決める作業となります。
荒節(鬼節)
焙乾が終わり出来上がった品を荒節と言います。
余分な水分が無くなり燻されて表面には、マキの燻しが付き黒くなります。長期の保存が出来る鰹節(荒節)が出来上がります。荒節を削った物は「花かつお」と呼ばれます。
荒節削り
鰹節の表面に付いたタール分を削り取り、鰹節の形を整える作業です。
昔は手削りでしたが、今では機械で削ります。まず、荒いペーパーヤスリで大まかに削り、こまかいペーパーヤスリで形を整え仕上げます。
仕上げ節
表面を削って形を整えた鰹節です。
この後、日干し作業を行い発酵菌の吹き付けをして樽詰めにします。樽詰めされた鰹節は、一番樽用の倉庫に保管されます。
発酵作業(樽詰め)
倉庫に保管後20〜25日目で一番カビが鰹節に付着します。
この時の一番カビは青カビと呼ばれます。このカビを付ける事により、水分の除去と鰹節の長期保存が出来るようになるのです。
天日干し作業
天日干し → 樽詰め → 天日干しの作業を最低でも7回繰り返し行ないます。
◇ 一番干し … 20〜25日
◇ 二番干し … 10〜15日
◇ 三番干し〜六番干し … 各15〜30日
※完成まで4〜6ヶ月以上を要します。
伝統の伊豆 田子節
伝統製法の“手火山式燻乾法”により燻され、六番まで天日干しされ仕上げられた、本枯れ節(カツオ一尾分の鰹節)は、原魚の六分の一の重さになり、カツオ本来のうまみが凝縮します。
※手火山式燻乾法を使った製造法を継承している鰹節製造元は、日本でも数店しかありません。